[前の画面に戻る] [INDEX]

抱朴子のミニロゴ

 4 霊芝類 【レイシ:石芝・木芝・草芝・肉芝・菌芝の五種類】
←前頁  次頁→

(霊芝は大別すると五種類に分けられる。それぞれはさらに100種あまりの種類に分けられる。
古代道教においては、霊験あらたかな動物や植物は、全て霊芝の一種であると考えられていたらしい。ちなみに「芝」という漢字は古代では霊芝のことを指していた。)

一 石芝
 石芝はまるで石のような形をして、海沿いの名山や断崖絶壁に生じる。その形状はまるで肉塊のごとく、あるいは四本足の動物のようである。大きな石に付き、好んで険しい絶壁にあって、赤きは珊瑚のごとく、白きは脂肪にごとく、黒きは漆のごとく、青きはカワセミの羽のごとく、黄なるは黄金のごとくに、皆、光明を放ち、まるで固く凍った氷のようである。
 闇夜にその場から離れ、300歩あるいても、その光を望み見ることができる。大きなものは10キロほどあり、小さくても2〜3キロはある。

 この石芝を採るには、まず開山却害符(おふだのこと)をその上に置いて、祭壇を設け、酒と肉を捧げ、祈りてこれを採る。これを3万6千回杵でついて、四角形のサジで一日に3回飲む。1斤(200グラム)飲めば千歳の命を得、10斤(2キロ)飲めば万歳の命を得ることができる。人と分け合って飲むべきである。

玉脂芝 玉を産出する山で採れる。これを粉末にして無心草(薬草)と煎じ、一升飲んだら千歳の命を得る。

七明九光芝 水のそばの高山の絶壁に生息。秋分の日にこれを採って一斤食べれば千歳の命を得て、体から光を発することができる。闇夜でも周りを明るくし、灯りなしで本も読めるようになる。

石蜜芝 深山幽谷の洞穴で生息。これを食せば万歳になるといわれ、多くの仙人がこれを求めたが、得た者は無いという。

石桂英芝 名山の岩穴に生じ、桂樹(キンモクセイ)の木に似ている。光明を放ち、味は辛く、一斤食べれば千歳を得る。



二 木芝
 松脂(マツヤニ)が地面に落ちて地中に沁みこみ、千年経ち、茯苓(ブクリョウ)となり、茯苓が万年経って、その上に小さな木が生え、その木に生息するのが木威喜芝である。形は蓮の花に似て、夜見ると光を放ち、滑らかだが、焼いても燃えない。これを携帯すれば、戦争時にも敵から傷つけられることがない。これを百日間陰干し、粉末で飲むこと一日三回、すなわち三千歳を得ることができる。

聚芝 三千歳の松の中にあって、龍のような形。別名日飛節芝。粉末にしてこれを十斤飲めば五百歳を得る。

樊桃芝 その形は昇龍のごとく、名山の東にある泉の土に生ず。立夏の候にこれを採って粉末にしてこれを飲めば五千歳を得る。

参成芝 赤い色にして光あり。これを叩けば、金属音がする。これを折っても、すぐに元に戻る。

木渠芝 大木の上に寄生。蓮の花のような形。

黄檗檀桓芝 千歳の黄檗木の下根に寄生。これを粉末にして飲めば地仙となって死ぬことがない。



三 草芝

独揺芝 風が無くても動き、その茎は大きな手指のようである。まるで丹のように赤く、その根は大きな頭のようである。12本の四方に伸びた根は十二辰のようである。深山幽谷に生息し、その左右には草が無い。その根を食せば千歳を得、その根を持つと、姿を消すことができる。

牛角芝 その形は葱(ネギ)のようであり、成長すると牛の角のようである

龍仙芝 形は昇龍のごとく、鱗(ウロコ)のような外皮。その根はうずくまる蛇のようである。これを一枚食せば千歳を得る。

麻母芝 麻に似て赤い色をしている。

紫珠芝 二十四の枝があり、連なって生息する。

五徳芝 その形は楼殿に似たり。その葉は五色ありて、中には常に甘露あり。紫気立つこと数尺なり。

龍銜芝 常に仲春の時期に、三節十二枝をつけ、下根は座る人間のようである。この草芝は120種類あり。これを陰干しして飲めば、天地とその命を同じくし、或いは千歳二千歳を得る。



四 肉芝

一万歳のヒキガエル 頭上に角があり、あご下に「八」の字がある。五月五日にこれを採り、陰干しすること百日、その左足を地に置けば、流水を成し、その左手を身につければ五兵を避け、もし、自分に向かって矢を射る者がいれば、その矢は帰って自らを射る。

千歳のコウモリ 色は白色、逆さに懸かるのは脳の重さのせいである。これを陰干して飲めば万歳を得る

千歳の霊亀 五色の色を持っている。そのオスは額の両骨が角のように立っていて、人の言葉を理解し、蓮の葉の上に浮かび、草むらの中にいて、羊の血でこれを洗い、その甲羅を剥ぎ取り、火にあぶって一日3回服用し、一匹分飲めば千歳を得ることができる。山中で、小人の操る車馬に乗っているのが肉芝である。これを捉えて飲めば仙人になることができる。

風母獣 貂に似ている。青色で大きさはタヌキくらいである。南海の林の中に生じ、網でこれを捕る。薪を積んで焼いても燃えず、切っても刃物が入らない。カナヅチでこの頭を数十回打って、ようやく死ぬ。死んでも、その口を風の方向に向ければ、生き返って走る。菖蒲(ショウブ)でその鼻を塞いだら、ようやく死んだ。その脳を取り出して、菊の花と混ぜて十斤を食べれば、五百歳を得る。

千歳のツバメ その巣は北に向かい、その色はほとんどが白く、尾が曲がっている。これを陰干しして一羽分を食べれば五百歳とならん。



五 菌芝
 菌芝は深山の中に生じ、或いは大木の下に生じ、或いは泉水の側に生じる。その形は宮殿のごとく、車馬のごとく、龍虎のごとく、人形のごとく、飛ぶ鳥のごとし。古式にのっとって歩いて行き、これを採り、骨刀で刻む。陰干しして粉末を飲めば人を仙人とさせる力を有する。また、数千年の命を得ることができる。



霊芝の採り方と飲み方

芝草(霊芝)を求めようと、名山に入るには必ず三月と九月にしなければならない。この月は山を開いて神薬をいただく月である。違う月に入るべきではない。
 六陰の日、寅卯の刻、霊宝符を身に付けて、白い犬をひいて、白い雉(キジ)を抱き、塩を一斗・開山符檄を大きな岩の上に祭り、唐草一把をとり、山に入れば、山の神は喜び、必ず霊芝を得ることができる。

霊芝を採り、霊芝を飲むには日を選ばなければならない。霊芝は名山には多くあるが、心が濁り、行いが悪く徳の薄い凡庸な道士には得ることができない。山は大小かかわらず、全てに鬼神があり、その鬼神が人に霊芝を与えるのだから、鬼神を軽視してはならない。

←前頁  次頁→

抱朴子 内篇 巻之十一「仙薬」より
 



八千草堂の鹿角霊芝:国産無農薬の極上品